まっすぐな遠まわり

作家名: 岡田瑳久
出版社: 文芸社
1000ポイント
まっすぐな遠まわり
関連タグ

あらすじ/作品情報

なんでおれが──。考える時間は売るほどあった。でも、納得のいく答えは見つからなかった。十万の雨粒に溶けた一滴の絶望が、墨汁をぼたりと垂らすように、だれかのからだを黒く潰す。十万の陽射しに紛れた一本の針が、死んだクワガタを標本にするみたいに、だれかを集中治療室のベッドに突き刺す。そのだれかがおれでなければならない理由は、どこにもなかった。(本文より)

同じ作者の作品

ページTOPへ戻る